名古屋大須のレンタルスペース-maison shintenchi (メゾン シンテンチ) –,名古屋大須のレンタルスペース

2016-09-17-2016-09-25

江上真織インタビュー

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レンタルスペースmaison shintenchi(メゾンシンテンチ)初めての展示として名古屋にゆかりのある作家の江上真織さんの展示をしていただくこととなりました。
より多くの方に江上さんの作品について知っていただくため、作品について、制作についてお話を伺いました。


では、さっそく絵について伺います。

― はい!よろしくお願いします!


江上さんは油絵を描いていますが、なぜ油絵だったのでしょうか?

― 油絵具、溶き油の持つ表現の可能性や美しさに惹かれたからです。
もともと油絵具に最初に触れたのは、幼いころから通っていた近所の絵画教室で、小学生3~4年生のころでした。
きょうだい一緒に通っていて、兄が先に油絵を始めました。
絵の具の質感や独特のにおい。筆でもナイフでも多様な表現ができる様子が面白くて、いつも羨ましく眺めていました。
私もその後に続いて始めたのですが、不器用だったこともあり、絵の具をモリモリと盛り上げて、自分でも収拾がつかないような静物画を描いていました(笑)
その後高校で美術科に進み、「油絵」「デザイン」「版画」「彫刻」の4つのメインの選考から油絵を選びました。
油絵の実技の授業で古典技法を学んだ際、グレージング(薄い透明な絵具層を塗り重ねる技法)、細部の描き込み、グレージング・・・と延々と繰り返し、静物を描きました。
画面に深みと一体感を出すこの古典技法にとても感動したんです。
厚さ数ミリの画面の中に、薄い皮膜を何十層も重ねて絵画空間を作っていく。
下層の色との響き合いやイメージのゆらぎに魅了され、授業以外でもグレージング技法を多用して制作していました。
大学で油画専攻に進学したのちも、ずっと油絵の制作を続けています。

襞を描いた最初の作品。学部4年生の頃。布の塊が覆いかぶさるようなイメージを平面的に描いていました。

襞を描いた最初の作品。学部4年生の頃。布の塊が覆いかぶさるようなイメージを平面的に描いていました。

学部の卒業制作。

学部の卒業制作。

学部生の頃の作品。

学部生の頃の作品。


やっぱり絵を描くのは昔から好きだったんですか?

―はい、好きでした。でも下手の横好きといいますか・・・
クラスに一人くらいいる天才的にイラストがうまい子って居ますよね。ああいう子にいつも憧れていました。
高校では天才的にイラストがうまく、センスがある子で溢れていて、かなわないなぁという思いがいつもありました。
その部分で、画面上でイメージを動かしてゆっくりと試行錯誤ができる油絵に助けられました。私はとても制作速度が遅いので・・・。


今の作風になったのは、どういう経緯ですか?

―大学在学時、自分のルーツを探って作品に反映させようと思いました。
小学生のころまで母が営んでいた布団屋で、いつも布の端切れで遊んでいた記憶や感覚を思い出しながら、布の襞をモチーフにしたのが今の作品に至るきっかけです。
閉塞感がありながら、深遠な広がりを持つ自分だけの空間を描きたかった。
そして、襞やフリルのような形を用いたのは、少女時代に持っていた女の子らしさへの羨望の気持ちもあります。
ジェンダーは大きな関心事のひとつですが、作品には色濃く反映していないつもりです。

大学資料館蔵の修了制作。幅約5メートルの大作です。

大学資料館蔵の修了制作。幅約5メートルの大作です。


作品の制作工程を教えてください。

―木製パネルに膠で布を張り、白亜地を施すという古典的な方法で下地をつくります。
その後、ひたすら描き込みとグレージングを繰り返します。


江上さんの絵は風景のようでも、実際の物を描いているようでもありますが、何を描いているのでしょうか?

―自分が無になれる場所かなと思います。


今回の展示で意識したことは何ですか?

―トリプティーク(三対)の作品を入れたことです。
アーチ状になった変形ボードを使ったペインティングも新作で展示しました。宗教画でよく目にするかたちを使っています。
信仰や祈りも関心事のひとつで、今後も時間をかけて取り入れていきたいと思っています。


絵を描いてるときのリフレッシュ方法を教えてください。

―音楽やラジオを聴いたり、本を読むことです。
制作中なら、岡村靖幸さんの曲を聴いて気持ちを立て直すことが多いです。
本は西加奈子さんの作品が感情豊かで好きです。
気候が良いときは5駅分くらいひたすら歩いたりしています(笑)。リフレッシュと健康維持を兼ねて。
あとは、黒猫と一緒に暮らしているので、撫でたり遊んだりするだけで心なごみますね。

木炭をぼかす道具「サッピツ」がお気に入りです。

木炭をぼかす道具「サッピツ」がお気に入りです。

ドローイングだけは自宅で制作します。いつも飼い猫の「るんちゃん」が邪魔をします。

ドローイングだけは自宅で制作します。いつも飼い猫の「るんちゃん」が邪魔をします。


尊敬する人を教えてください。

―ここ数年で影響を受けたのは、先にも挙げたミュージシャンの岡村靖幸さんですね。
デリケートで劣等感のある言葉をポップなサウンドにのせて、ライブでのキレキレのパフォーマンスで最高にかっこいい作品になる。すごく憧れます。
また、岡村さんのアートワークも担当されているアーティストの会田誠さんの本や、発言にいつも注目してます。
会田さんは昨年発行された「戦争画とニッポン」という本を読んでから更に気になって、動向をフォローしています。


今後やってみたいことはありますか?

―大小かかわらず、空間を自分の作品でいっぱいにしてみたい。

2015年 名古屋のgallery Nでの個展風景㈪ 光沢のある画面は、日差しを受けて表情が変化します。

2015年 名古屋のgallery Nでの個展風景
光沢のある画面は、日差しを受けて表情が変化します。

2015年 名古屋のgallery Nでの個展風景。

2015年 名古屋のgallery Nでの個展風景。


江上さん、お忙しいなかお話有難うございました。
9月17日(土)より展示が始まります。ぜひ江上さんの世界観を見にきてくださいね。

江上真織WEBサイト:http://maoriegami.net/


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江上真織 展 / Maori Egami exhibition

【開催日時】
2016-09-17 〜 2016-09-25
13:00-19:00
休館日: 20日(火)、21日(水)
opening party(無料)
9/17 18:00-