名古屋大須のレンタルスペース メゾンシンテンチ,名古屋大須のレンタルスペース

 

レンタルスペースmaison shintenchi(メゾンシンテンチ) 第四回の展示として作家の前畑 裕司さんに展示をしていただくこととなりました。
より多くの方に前畑さんの作品について知っていただくため、作品について、制作についてお話を伺いました。

 


前畑さんについてお聞かせください。

 

アートに興味を持ち始めたのはいつ頃からですか。(きっかけなどあれば教えてください)

―小さい頃からなぜかずっと絵を描くことは好きなのですけれど、小学2年生の時に鬼を描くという課題が授業でありました。
参考に見せられた俵屋宗達による雷神風神図屏風の写真が、自分の知っている鬼と全然イメージが違っていて、めちゃめちゃかっこいい・・・としばらく見ていました。それが一番古いアートな体験のような気がします。


日本画を学んできた前畑さんですが、興味のある日本画家を教えてください。

―上で挙げた俵屋宗達の他には横山大観、菱田春草、福田平八郎など、割とデザイン的というか図の構成が長けた作品を作る作家が好きです。
最近は情緒的な作品も好きになってきました。


今回の展示作品について

 

展示のタイトルにある「ジャパニーズペインティング」は、直訳すると「日本画」ということになりますが、どのような意味で使われているのでしょうか。「ジャパニーズペインティング?」の「?」にはどのような意図があるのでしょうか。また展示のコンセプトをお聞かせ下さい。

―そうですそうです。あともう少し広い意味で「日本人の絵」や「日本の絵」という意味も込めています。
今回の展示では、既にある「日本画」や「日本人の絵」や「日本の絵」のイメージやその枠組みに対して疑問を投げかけてみようと思い「?」をつけました。
展示のコンセプトをそのままタイトルにすることが多いです。

過去の個展より/『ジャパニーズペインティング?』@gallery N

過去の個展より/『ジャパニーズペインティング?』@gallery N


ありふれた既存のイメージを、敢えて日本画に用いる「岩絵の具」を使って描くことで、トラディショナルな日本画界への皮肉も感じられます。どのようにお考えですか。

―日本画=岩絵の具で描かれた絵というイメージを上手く利用しようとは考えています。純粋に日本画を目指して描いている人にはそれが皮肉のように取られるかもしれません。
素材で絵画を議論することは不毛のように感じますが、僕自身その不毛さを利用して作っている作品もあるのでやや複雑です。


既存のイメージを、作品の中に取り入れるようになったきっかけを教えてください。

―高校、大学と美術の学校に通って日本画を専攻してきたのですけれど、基本的に教わったことは「良く観察して描く」ということでした。
ただそこに作者の情感とか思念みたいなものをこめて描くのがなんだか気持ち悪いなと思うようになってきて、
だったらもう何も加えず、何も減らさずそのままを描けばいいかと思い、既存のイメージをすくい取ってそのまま描くという今の作風になりました。
自分にとってはどう描くかより何を描くかが重要なんだと思います。
あとは小さい頃から漫画やイラストを模写するのが好きだったので、ある意味原点回帰しています。

過去の展示より/『ごほんでにほんのごにん』@GALLERY GOHON

wrapping paper 2012 和紙に金箔、金泥


展示によって作風が大きく変っているように見えますが、どのようなインスピレーションを持たれているのでしょうか

―絵のモチーフになる物集めから始まることが多いです。

何の関係性もない物と物にに自分だけのルールや価値を見出すのが好きで、それらを組み立てて展示を構成していきます。良いモチーフが揃ったらあとはそれらを見たままに描くだけです。
展示によって印象や内容がコロコロ変わるのは僕が飽き性なのでそのルールが長続きしないせいです。
今回の「ジャパニーズペインテイング?」は割と長く続きそうです。


前畑さんご本人への質問です。

 

発想や着眼点において、影響を受けた作家や人物はいますか?(美術家に限らず)

―ヴォルフガングティルマンスやマーティンパー、ホンマタカシ、ゲルハルトリヒターやエドルシェなどです。
どこか物事を俯瞰するような、一歩引いたような視点から作品を作る作家が好きです。


前畑さんは音楽好きというイメージがありますが、好きな音楽はありますか?また音楽は作品にどのような影響を与えていると思いますか?

―音楽は好きですがそんなに詳しくありません。音楽をやっている知り合いや友達が多いので教えてもらったり、ファッションショーで使われている曲が格好よくて調べることもあります。
制作の時期によく聞いていた曲の雰囲気が作品に反映されることはあります。


前畑さんの作品は、ファッション誌などからの引用も多く見られますが、興味のあるファッションなどがありましたら教えてください。

―中性的で、コンセプチュアルな世界観を持つデザイナーやブランドが好きです。
着るのはシンプルで長く着れる丈夫なものなら・・。


イベントの企画などで交友関係が広い前畑さんですが、お休みの日は何をしていますか。

―遅くまで寝て、夕方から活動し始めることが多いです。お店やギャラリーを回りますが閉店時間に追われて行動しています。


今後やってみたいことはありますか?

―しばらくこの「ジャパニーズペインティング?」を続けて、沢山作品を作っていきます。広い会場で一斉に並べてみたいです。


 

前畑さん、お忙しいなかお話有難うございました。
1月28日(土)より展示が始まります。ぜひ前畑さんの世界観を見にきてくださいね。

 


前畑 裕司個展 / JAPANESE PAINTING? JAPANESE PAINTING?

【開催日時】
2017-01-28 〜 -02-05 / 02-07 〜 02-09(※延長しました)
13:00-19:00
定休日:01/30(月)・02/06(月)
opening party(無料)
01/28(土) 18:00-



前畑 裕司 / yuji maehata

1986年愛知県名古屋市生まれ。

[個展]
2011
「vision.」 伊勢現代美術館/三重
「noisy」 gallery N/愛知
2012
「pictures」 gallery N/愛知
2013
「FRAGMENT」 伊勢現代美術館/三重

[グループ展]
2011
「第2回 油-日yu-bi」 GALLERY SHOREWOOD/東京
「3studios」 愛知県立芸術大学 博士棟/愛知
「share」 高田裕大×前畑裕司 展  伊藤美術店/愛知
2012
「ARTSCA exhibition」 gallry NIW/東京
「ごほんでにほんのごにん」 gallery GOHON/愛知
「あいちの現代美術2」 アートラボあいち/愛知
「share2」 伊藤美術店/愛知
2013
「3devices」 羅針盤/東京
「ARTSCA exhibition2」 gallry NIW/東京
「share3」 伊藤美術店/愛知
「出張N in多治見ながせ商店街」 galleryN/愛知
2014
「Le pont des Arts 2014 BORN of 台湾藝大&愛知芸大 」  国立台湾芸術大学/台北、伊藤美術店/愛知